レアルに完敗。鹿島の右サイドが象徴した「キャラと試合展開の不一致」 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by MEXSPORT/AFLO

 鹿島にとって痛かったのは後半8分にベイルに奪われた失点だ。原因はその直前、自軍ライン上でベンゼマのシュートを跳ね返した山本のバックパスだった。GKに戻したパスが中途半端になり、それをかっさらわれた格好だが、これで試合の大勢はほぼ決した。

 試合の興味は、追い込み型の鹿島がその片鱗をどこまで見せられるかに絞られた。交代エリアには安西幸輝の姿があった。グアダラハラ戦で安部裕葵が決めた3点目をお膳立てしたサイドアタッカーだ。

 しかし、鹿島はこちらが半分淡い期待を抱いている間に致命的なゴールを浴びた。後半10分、ベイルにハットトリックを許したのだ。

 クラブW杯のような一発勝負は、勝って当然の格上の方が戦いにくいとされる。横浜で行なわれた2年前の決勝はその代表的な試合になるが、今回の一戦ではその気配は一切なかった。鹿島に追い風はまるで吹かなかった。実力どおりの結果とはいえ、2年前を引きずるストーリー性を抱えた期待感の高い試合だっただけに、いまは空振りを喫した気分である。

 もし鹿島がこの試合に勝っていたら、サッカー界にとって大事件になっていたことも事実なのだ。決勝のカードがアル・アイン対鹿島では、クラブW杯は存亡の危機に瀕するはずだ。

 決勝進出を逃したことを残念がるより、ここは3位決定戦でリーベル・プレートと戦えることを喜ぶべきだろう。南米王者に勝利しても金星であることに変わりはない。

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