レアルに完敗。鹿島の右サイドが象徴した「キャラと試合展開の不一致」 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by MEXSPORT/AFLO

 攻撃的なのか守備的なのかが端的に表れるのは両SBの位置取りと言われる。前半の鹿島の姿は、西が自重し、低いポジションを取る右SBに象徴されていた。

 だが、西が自重すれば彼を起用した意味は半減する。内田の方がよかったという話になる。

 西は攻撃力があるのに行かなかった。結果として、ベイルのポジションは下がらなかった。その結果、前半44分、ベイルに先制点を許した。高い位置でマルセロとのワンツーを決められ、西の背後に決定的なラストパスを送られた。

 とはいえ、だ。0-1で後半に突入する展開は、追い込み型の鹿島にとって悪い話ではない。本領を発揮しやすい展開になったことも事実だった。

 鹿島はメンバーチェンジを敢行した。永木亮太と内田の交代だ。内田を西に代えて右SBに置き、西を永木が務めていた守備的MFにコンバートする戦術的交代だ。

 ところがその交代は、開始早々、空転する。内田の裏をベイルに突かれたのだ。ゴールライン際から深々と折り返され、逆サイドで待ち構えていたカリム・ベンゼマに強シュートを浴びた。ライン上で左SB山本脩人が間一髪クリアしたが、右SBを西から内田に代える交代に効果が出なかったことを示したシーンだった。

 試合展開的には、むしろ、西→内田より、内田→西の方が適していたと言いたくなる。だが、事前に、レアル・マドリードがスロースターターになることを読めというのは無理な話で、自在なサッカーができなかったことを責める気にはなれない。これはあくまでも結果論である。

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