コスパで今季Jリーグを総括。真の優良クラブはどこだったのか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 この順位が高ければ高いほど、コストパフォーマンスがいいことを意味する。

 たとえば、スペインリーグでレアル・マドリードとバルセロナは、年間予算的に1、2を争う関係にある。3位アトレティコ・マドリードとの差は大きい。したがって、両チームは3位以下に沈むわけにはいかない。欧州内でも予算的に同様に1、2を争う関係にあるので、チャンピオンズリーグ(CL)でも常に優勝争いに絡むことが求められる。評価の分かれ目は、予算に基づく適正なポジションに収まっているか否かになる。

 予算的に優位に立つ金満クラブといえば、Jリーグでは浦和だ。営業収入で首位の座を守り続けて10数年。しかしJ1のリーグ戦に限って言えば、優勝を飾ったのは過去に1度きり(2006年)だ。今季の順位も5位だった。コスパの悪いクラブと指摘されても仕方がないが、浦和に対してそうした指摘は、外国のようには聞こえてこない。評価の基準は成績のみだ。

 浦和と双璧を成すのが名古屋だ。昨季の予算規模は7位ながら成績は15位。だが、2017年はJ2暮らしだったので、営業収入は通常より少なめになる。本来は3位以内にいて不思議はない金満クラブだ。しかし優勝したのは浦和同様一度きり(2010年)。J2転落や降格争いをする姿は、正直言って、あまり格好よくない。コスパの悪さを曝け出している状態だ。

 その名古屋と今季、コスパの悪さで最下位を争ったのは神戸だった。ルーカス・ポドルスキ、アンドレス・イニエスタを獲得。そして終盤、フアン・マヌエル・リージョを新監督に迎えながら、J2降格の危機から脱したのはラスト1週を残した33節という有様だった。

 2014年はJ1の営業収入で14位だった神戸だが、15年、16年は8位。そして2017年、一気に2位へと急上昇した。首位浦和とは27億円強の差。近い将来、浦和を脅かす存在になるのか。営業収入より先に成績で浦和を上回らないと、コスパの悪い、格好のよくない金満クラブになる。

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