1年でのJ1復帰を果たせず。大宮アルディージャに足りなかったもの (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

 昨季、J1で最下位となり今季からJ2での戦いを強いられた大宮は、江坂任(現・柏レイソル)や瀬川祐輔(現・柏レイソル)といった主力を失いながらも、三門やシモヴィッチを迎え入れ、1年でのJ1復帰に向けて十分な戦力を整えていた。しかし、2015年以来となるJ2の戦いはけっして甘くなかった。理想とするスタイルが、割り切って守備を固める相手に通用せず、結果を求めて方向転換を余儀なくされた。

「シーズン途中に理想とする形から修正することで、本来狙っていた自分たちの形を求めていけなくなった。そのなかで、うまくいかないゲームが続いたのは、正直あります。最初の戦い方がうまくいかなかったことが、最後に響いてしまったと思います」

 狂った歯車は、簡単に戻ることはなかった。大前やマテウスの個人技頼みで、なんとかプレーオフに進んだものの、昇格のかかった重要な戦いで、今季ここまでごまかしてきた不具合が浮き彫りとなった印象だ。やはり勝者に値したのは、突出した個性はないものの、スペイン人指揮官のもとで緻密な戦術と組織を備えた東京Vのほうだったのだ。

 三門は、戦術的な部分はもとより、メンタル面の甘さを指摘した。

「シーズンの残り2試合はハードワークをしながら、タフな試合ができたと思います。今日も負けましたけど、身体を張って戦うというところはしっかりできた。ただ、年間を通してそれができたかというとクエスチョンがつくし、甘さもあった。そういうところが上がれなかった原因かなと思う」

 それにしても、今季のJ2リーグは史上稀にみる大混戦となった。1年でのJ1復帰を目指したのは、大宮だけではない。アルビレックス新潟も、ヴァンフォーレ甲府も、再びトップの舞台への返り咲きを目指しながら、プレーオフにさえ進めなかった。一度落ちたら、這い上がることが難しい。J2という舞台は、ますますそんな印象を強くした。

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