2018.11.27

1年でのJ1復帰を果たせず。
大宮アルディージャに足りなかったもの

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

 ターニングポイントとなったのは、59分の退場劇だった。東京ヴェルディの内田達也が2枚目の警告を受けてピッチを去ると、押し込まれ続けていた大宮アルディージャに、わずかに弛緩した空気が漂ったように感じた。

 おそらく、この時点で大宮の勝ち上がりを予想した人も多かったはずだ。J1参入プレーオフのレギュレーションは、リーグ戦の上位チームが引き分けでも次のラウンドに進めるというもの。

数的有利な状況を生かし切れずプレーオフ敗退を喫した大宮アルディージャ この時点で0-0。リーグ戦の順位で勝る大宮が、数的優位を手にしたのだ。そのまま試合を終わらせる可能性は、ずいぶんと高いように思われた。

 しかし、勝つしかない東京Vは、その隙を見逃さなかった。数的不利に陥りながらも、そのハンデを感じさせないアグレッシブなプレーを展開。たしかにボール支配率はそれ以前と比べれば低下したものの、ひとりひとりの運動量は増し、パスだけでなく仕掛ける意識も向上した。

 そして71分、左サイドに抜け出した香川勇気がエリア近くで倒されて、フリーキックを獲得。このチャンスで平智広が執念のヘディングシュートを決め、東京Vが喉から手が出るほどほしかった先制点を奪い取ったのだ。

「相手がひとり少なくなったことで、余裕ができた部分もあるかもしれない」

 大宮の三門雄大は、心に隙が生まれたことを認めている。

 立ち上がりから大宮は、東京Vの猛攻にさらされた。正確なパス回しに翻弄され、プレスをあっさりとかわされると、ボランチに自由を与えてサイドに余裕をもって展開されてしまう。次第に重心が低くなり、早い段階から守りを固める意識が高まった。

 レギュレーションを踏まえれば、そうした選択もけっして間違いではない。ただし、「自分たちがボールを保持する時間が少なくなるのはわかっていましたが、前半から相手にボールを握られ過ぎたし、自分たちのボールを持つ時間が少なかった」と大前元紀が振り返ったように、想定以上にボールを持たれたことで、苦しい戦いを余儀なくされてしまった。