39歳、プロサッカー選手・橋本英郎は
「死ぬまで現役でいたい」
ベテランJリーガーの決断
~彼らはなぜ「現役」にこだわるのか
第6回:橋本英郎(東京ヴェルディ)/後編
昨季、東京ヴェルディに移籍した橋本英郎(中央)。左はガンバアカデミーの後輩となる内田達也、右は永田充
前編(※11月16日配信)で綴った「同期に恵まれた」との言葉にもあるように、橋本英郎のプロサッカー人生は、カルチャーショックを受けるほどの才能の差を見せつけられた「79年組」の同期に刺激を受けたことで形を変えてきた。
"プロ"になってからは、周囲との才能の差を肌身で感じたことが、本来はストイックではないはずの彼に、"間違わない努力"の必要性を備えさせた。と同時に、そのときどきの自分に現実的な目標を設定することで、堅実にサッカー人生のレールを敷き、その上を楽しみながら走り抜けてきた。
それは、今も変わらない。おそらくは、引退を決断するその日まで――。
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1998年にガンバ大阪のトップチームに昇格したとはいえ、橋本はアカデミー時代の同期をはじめとする、周囲の選手との明らかな才能の差に直面し、自身の物足りなさを自覚していたそうだ。だが、一方で「努力さえ怠らなければ、いつか試合に出られる」という自信も密かに秘めていたという。
というのも、アカデミー時代の彼はサッカーと勉強の両立に忙しく、本来ならその時代にすべきサッカーでの努力も、勉強の時間に充てていたからだ。だが、プロになり、その時間をサッカーに費やせるようになれば、もっと成長のスピードを上げられると考えた。
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