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首位から7位まで6ポイント差。J2のJ1昇格争いがカオスだ (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi photo by Getty Images

 大分と言えば、かつてシャムスカ監督の下でナビスコカップ(現ルヴァンカップ)初優勝を果たすなど旋風を巻き起こした時代もあったが、J1の上位争いにも食い込んだその黄金期はもう10年前のこと。以降、2010年にJ2降格の憂き目に遭い、2013年に再びJ1の舞台に戻ったものの、わずか1年でJ2に降格。さらに2015年にはまさかのJ3降格を味わうなど、日本でもっとも浮き沈みの激しいクラブとして知られている。

 しかし、2016年に就任した片野坂知宏監督が1年でJ2昇格に導くと、J2残留が目標だった昨シーズンは望外の9位でフィニッシュ。3バックをベースにボールを保持する攻撃的スタイルが浸透し始めたうえ、今シーズンは課題だった守備面も改善した。とりわけ第23節以降は複数失点を喫した試合がなく、自慢の攻撃力に頼るサッカーではなくなったことが、成績浮上につながったと言えるだろう。

 しかもリーグトップの65ゴール(10月8日時点)の内訳を見ても、藤本憲明が11ゴール、馬場賢治と後藤優介がそれぞれ10ゴールを記録するなど、ひとりのストライカーに偏らず、どこからでもゴールを奪えるのが最大の強みだ。残りの対戦相手には、町田、松本山雅、横浜FCと、上位直接対決が3試合も残っているという不安材料はあるが、現在の勢いを含めて、十分に2位以上を狙えるチームになったと見ていいだろう。

 その大分とは対照的に、現在2位につけている松本山雅は自慢の守備力をベースに安定した成績を維持している。

 今シーズンは即戦力を大量に補強した影響もあってか、確かにシーズン序盤は不安定な戦いが続いたが、第7節大宮戦の初勝利をきっかけに浮上。以降は順調に勝ち点を積み重ねて第22節で首位に立つと、一度は町田に首位の座を譲るも33節からは再び首位に返り咲いた。

 現在は大分の勢いに押された格好で2位に甘んじているが、実力的には自動昇格にもっとも近いチームと言っていい。7年目を迎える反町康治監督のサッカーにブレはなく、相手の良さを消す戦略と巧みな采配は相変わらず。36節を終えた時点での総失点33は、もちろんリーグ最少失点記録だ。

 逆に、ここまで11ゴールをマークするチーム内得点王セルジーニョ以外に、決め手となる得点源がないのが不安材料。もっとも、夏の移籍で主力MF前田直輝を名古屋グランパスに引き抜かれたことを考えれば、ここまでは上出来の後半戦と見ることもできる。最終的に2位以上の成績を残せるかどうかは、大分戦、東京ヴェルディ戦と続く第39節からの2連戦がカギとなりそうだ。

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