鹿島が「ふわっと」を「どっしり」に修正。最後まで隙を見せなかった (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 また、試合の終わらせ方も秀逸だった。小笠原の投入前には大岩監督自ら歩み寄り、細かく指示を送っていたが、チームの象徴であり中盤の要である小笠原を送り込むことで、ピッチにいる選手たちに明確なメッセージを伝え、危なげなく試合をクローズ。ボールを支配され、攻め続けられたとはいえ、相手のシュートを7本に抑えて第2戦を3−1で勝利した。

 何より、チームとしてベンチも含めた全員が戦っていた。2試合合計すれば4−2と、かなり優位な状況にありながら、試合終了間際には判定を巡って大岩監督が激昂。そのさまは、一瞬たりとも隙を見せない勝利への意欲に映ったし、そのスピリットは選手たちにも伝播したはずだ。永木が言う。

「今シーズンはこういう試合が少なかったですし、鹿島のいいところというのは、みんなが一生懸命ハードワークしたり、今日みたいに気持ちを込めてプレーしていくことがベースにあると思う。そういったことができれば、今日のような試合ができるということもあらためてわかったと思う」

 たしかに川崎Fは主力3人が日本代表に招集されていたし、大島僚太もケガで不在だった。それでも鹿島にとっては、ルヴァンカップで次のステージに進めるという以上に大きな勝利だったように思える。最後に永木が言った。

「これをきっかけにしていければと思います」

 同じ方向、同じ意識――。"わずか"もしくは"たった"中3日での第2戦だったが、鹿島はチームとして大事なものを取り戻したように見えた。

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