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イニエスタだけじゃない? 
神戸「バルサ化」戦略は成功するのか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 西村尚己/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORTS

 クライフはそう言って、ラ・マシアから引き上げたMFジョゼップ・グアルディオラを厳しく鍛え、ボールプレーの極意を叩き込んでいる。他の選手に対しても、要求はエキセントリックだった。そしてクライフ・バルサは1990-91シーズンからリーガ4連覇を果たし、ドリームチームと崇められるまでになるのだ。

 オランダの名将が土台を作ったラ・マシアはその後、大輪の花を咲かせる。グアルディオラの系譜を継ぐ者として、シャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタ、セスク・ファブレガスなどを続々と生みだした。こうして世界が惚れ込む「バルサスタイル」が確立されたのだ。

 2007-08シーズンにバルサに戻ったグアルディオラは、まずバルサBの監督としてラ・マシアを鍛え直し、バルサBの3部昇格に成功。そこでとともに戦ったセルヒオ・ブスケツ、ペドロらをトップチームに引き上げ、バルサ最強時代を作った。2008-09シーズン以降、ラ・リーガでは3連覇を達成し、UEFAチャンピオンズリーグは2回優勝。「ボール支配率8割」という圧倒的な優勢で勝つ姿は神がかっていた。

 それはラ・マシアが作り上げた伝統の継承といえるだろう。

 リオネル・メッシも、ラ・マシアにいたからこそ、その腕を上げることができた。常にボールを支配し、攻め立てる。試合自体が攻撃トレーニングで、選手は自然と鍛えられた。

「頭の上を飛ぶパスが理解できない」

 ラ・マシアから他のチームに移った選手は、そうぼやきながら自分たちの環境がいかに特殊だったかに気づく。しかし特殊であるが故に、"唯我独尊"のスタイルは生まれた。

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