三竿健斗は足りないものを求めて
「ギラギラした姿勢で練習した」

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 渡部 伸●写真 photo by watanabe shin

遺伝子~鹿島アントラーズ 絶対勝利の哲学~(24)
三竿健斗 後

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 アディショナルタイムに突入している。残り時間わずかで迎えたFK。それは多分、最後の得点機になると誰もが思っただろう。

 8月5日カシマスタジアム。清水エスパルスを迎えた鹿島アントラーズは、連戦の疲労を考慮し、ベテランの小笠原満男、若い金森健志、移籍加入したばかりのチョン スンヒョンとスターティングメンバーを大幅に入れ替えていた。試合開始前のウォームアップ中にGKのクォン スンテが負傷し、急遽、曽ヶ端準が出場するというアクシデントにも見舞われている。  

 堅い守備でゴールを守る清水相手に得点を奪えない。逆に清水のカウンターでピンチにさらされてもいた。シュートがポストに当たり救われるシーンは2度もあり、スコアレスドローで逃げ切ることができれば、幸いなのかもしれない、そんな試合展開だった。

 後半41分、大岩剛監督は遠藤康に代えて、内田篤人をピッチへ送り込み、3枚目の交代カードを切った。右サイドバックを務めていた西大伍が1列前にポジションをとる。

「僕は得点を決めるタイプの選手じゃない。だけど、考えたのは、ドログバのように途中出場すると、空気が変わってしまう選手のこと。相手が嫌だなぁと思う選手。そういうことを意識していた」と話した内田。スペースがあると感じていたサイドで、何度もパスを前線へ供給し、攻撃のリズムを作った。

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