ヴェルディの指導者が名門ソシエダで学んだ「クラブ哲学とメソッド」 (3ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by AFLO

――クラブのフィロソフィーを継承するのはトップ選手だけではないのですね。

「ソシエダを見ていて、すごいなと思ったことがあります。柏レイソルを何かの大会で見て、すごいと思ったらしく、日本まで練習を見に行ったらしいんです。それで取り入れたのがドリル形式のトレーニングだそうです。すごいと思えば、たとえ相手が格上だろうが格下だろうが、すぐ取り入れるんですよね。

 面白いのは毎週月曜日、ソシエダのフィロソフィーを継承していくために、カンテラ(下部組織)の4カテゴリーがまったく同じ練習をするんですよ。毎週月曜日の16時45分からフベニール(U-18とU-19)、18時30分からはカデーテ(U-16とU-15)が、それぞれ混合チームで練習する。年齢じゃなくてポジションで縦割りにするから、大きい子も小さい子も混ざってトレーニングするんです。で、ワンテーマで6週間トレーニングをして、7週目には試合形式をする。そんな練習、Jリーグで聞いたことないですよね。

 さらにそういったトレーニングを統括するメソッド部門があって、練習メニューが整備されていて、こういうテーマだったらこれ、というのがパソコンで出てきて、選べるようになっているんです。日本では、どこもそのカテゴリーの監督、コーチに任せていますよね。それでYouTubeを見て、グアルディオラがこういう練習していたからというだけで取り入れたりしている。

 ソシエダのメソッド部門はそういったことをちゃんとやるんです。6週間のメニューも、うまくいかなければ、ガラッと変えてしまったりする。そうやってブラッシュアップしていくと、6週目にはできるようになっているんです。それは本当に面白いですよ。1週目にできなかったことが、3、4週目で整理されていく。

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