ヴェルディの指導者が名門ソシエダで学んだ「クラブ哲学とメソッド」
冨樫剛一氏(元東京ヴェルディ監督)に聞く(3)
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日本サッカー協会とJリーグによる育成年代の強化を目的とした協働プログラム(JJP)により、シャビ・アロンソやアントワーヌ・グリーズマンら名選手が輩出してきたレアル・ソシエダ(スペイン)に派遣された東京ヴェルディ前監督の冨樫剛一氏。日本の指導者が海外に出ることの意味を、あらためて語ってもらった。
フランス代表アントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード)もレアル・ソシエダの育成部門出身――練習ではチームとはどういう関わり方をしているのでしょう。実際に教えることを任されたりもするんですか?
「最初は指導するというところまではいかなくて、ボールを出したりとか、その程度です。この前、『アズール(青)』と『ロハ(赤)』と言って、そっちに移動する練習をしたとき、僕の発音がおかしかったみたいで、みんなキョトンとして笑い出した。『トガ、違うよ』と、子供たちが一人前にいろいろ言ってくるんですよ。U-13では、パス&コントロールの指導を任せてもらっています」
――大人ですね。
「ポジティブな意味でね。会話力というのはすごくある。ヴェルディで子供たちを見ていたときも、大人になって自分の意見を言えるようにならないといけないと思っていたし、意見を言えるような環境だったと思うんです。だから、もしかしたら生意気だと捉えられる子を多く輩出してしまったかもしれないですけど、ここ(ソシエダ)の子たちは納得しないと動きません。意見をよく言うし、話を聞く。コーチたちも、子供に対してきちんと話して聞かせます」
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