Jリーグからスペイン派遣のコーチが驚く「練習場にカフェがある文化」 (5ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Mutsu Kawamori/AFLO

 最近、ロベルトという飛び級でソシエダのCチームに行った選手が、すごく早く練習を切り上げたんです。ケガでもしたのかと思ってコーチに聞いたら、『練習とゲームの数値を測ったら、これ以上やったらケガを』しそうだから終わらせたんだ』と。こういうことを、日本だと感覚で決めるじゃないですか。あるいは、きつくてももっといけるだろうと思ってやらせる。

 どっちが正しいかはわからないですけど、それくらいデータを細分化して考えているからこそ、ミーティングで彼らは、『ダービーは気持ちなんだよ。サッカーって、数字じゃ語れないものがあるだろう。見せなきゃいけないものがあるだろう』と言うんです。数字を突き詰めたうえで、そう言うことができる。そういうことって、本当に勉強になります。僕らはそこまで細分化できてないですからね」

――もともとの考え方の違いがありそうですね。

「そうですね。例えば今、日本の指導者で『5レーン、ハーフスペース』なんていう言葉は誰でも知っていると思います。それに、ソシエダに練習メニューで目新しいものは、ほぼほぼないんです。そんなのがあったら、彼らはお金を払ってでも取り入れるはずです。僕自身、練習メニューはたくさん持っているほうだとも思います。

 けれども、練習メニューではなく、大事なのは最終的に選手がどう表現していくかということなんですよね。そのためにも細分化していかなければならないと、ここに来て思います。今、考えると、監督やコーチだった時代に、もっと細かく言ってあげればよかったな、と」

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