永井秀樹、ユース監督2年目。あの前橋育英を撃破した理想のサッカー (5ページ目)

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

目指すべきサッカーは
まだまだ先にある

結局、ヴェルディユースは自らが理想とするサッカーを貫いて、高校王者の前橋育英から大量5点を奪い5-3で勝利を収めた。

 ボール支配率は、前半は70 %近く。試合後、永井にインタビューすると、「我々が目指すのは80%以上。まだまだ満足できるレベルには程遠い」と答えた。

 それはとてつもなく高い理想に思えた。永井自身も「今年1年で、満足できる試合ができるレベルになることはかなり難しい」と答える。ただ、「難しいからこそ挑戦しがいもあるし、意味もある」と付け加え、今後も変わらず、世界基準を常に考え選手たちに指導を続けると言う。

「去年は選手たちも、今まで常識と思っていたサッカーとは真逆に近い要求をされて、半信半疑で取り組んでいた。それが少しずつ『自分たちの目指すサッカーに間違いはない』と思えるようになり始めた。もちろん、我々の理想とするサッカーにはまだ程遠い。選手も勝てない時期が続けば、すぐに自信を失って『永井さんの理想はわかるけど......』となるかもしれない。でも、選手たちは純粋に努力を重ねて、確実に成長していることは間違いない」

 永井は、「最近、育成は根気がすべてと改めて思う」と話す。

 給料をもらい、トップチームでプレーするプロ選手であれば、指導者は、理想に合わなければ替えてしまえばいいが、育成年代はそうはいかない。

5 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る