サガン鳥栖、泥沼6連敗。「走るチーム」が走らなかったら、こうなる (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

「前半はせっかくボールを奪っても、カウンターを仕掛けるところがうまくいかなかった。後半は修正して、いい展開で進んでいたと思うが、サッカーとはゴールで試合が動いていくスポーツ。あのすばらしいゴールが決まってしまい、一発で流れが変わってしまったという印象です」

 フィッカデンティ監督がそう分析したとおり、この失点が鳥栖にとっては痛かった。その後はバランスを崩して前がかりになるも、G大阪にとってはカウンターを発動させる、おあつらえ向きの展開に。案の定、鳥栖は相手の速攻から2点を失い、0−3の完敗を喫した。

 3失点もさることながら、鳥栖の抱える問題は得点力不足に尽きるだろう。これで4試合連続の完封負けである。指揮官の言葉を逆説的に捉えれば、ゴールが奪えないのだから、試合を動かすことができないのだ。

「攻撃のバリエーションがなく苦しかった。ボールを奪っても裏に蹴るだけのワンパターンになってしまった。そこは、修正すべきところかなと思います」

 キャプテンを務めるDF吉田豊は、こう課題を口にする。2トップの一角に入った19歳のFW田川亨介も「僕が裏に抜ける形が多いですけど、そればっかりになっているので、もう少しパターンがほしい。セカンドボールもなかなか拾えないので、中盤も押し上げられず、前で孤立する難しい状況になりました」と、攻撃の形が作れない現状に苦悩しているようだった。

 田川が言うように、鳥栖の攻撃を見ていると、明らかに前の人数が足りていないことがわかる。本来は高い位置でボールを奪い、人数の揃った状態で攻撃に転じたいところだが、G大阪戦では後方でしのぐことを強いられ、結局アバウトなボールを放り込んで前線を走らせるしか術(すべ)がなかった。これでは、得点を奪うのは難しい。

 戦力的な問題もあるだろう。今季の鳥栖は、これまでエースとして君臨してきた豊田陽平が韓国の蔚山現代に期限付き移籍し、屈強なコロンビア人FWのビクトル・イバルボを軸としたチーム作りに着手していた。ところが、そのイバルボが負傷離脱。第6節のC大阪戦を最後にピッチに立てておらず、第8節から始まった無得点試合は、彼の不在と無関係ではないはずだ。

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