浦和レッズと現実主義者オリヴェイラ。
「とにかく勝つ」で思惑が一致
「タフな状況は予想していました」
川崎フロンターレ戦後、浦和レッズの指揮官であるオズワルド・オリヴェイラは淡々とした調子で振り返っている。「タフな状況」とは「厳しい状況」、もっと言えば、「劣勢」に言い換えられるだろうか。逆にそれだけ、勝算は立っていたということだろう。
リアリストに徹したこの夜の戦いは、今後の浦和の土台になるかもしれない。川崎フロンターレ戦で2ゴールを決めた興梠慎三(浦和レッズ) 5月2日、等々力陸上競技場。浦和はJリーグ王者である川崎Fとのアウェーゲームに臨んでいる。今シーズン3人目の監督となるオリヴェイラが就任してから2連敗。ずるずると負けを重ねるわけにはいかなかった。
浦和は3-5-2のシステムを採るも、ボールをほとんど前に運べない。結果、5-3-2のようになる時間帯が多くなる。プレスには果敢にいくものの、オートマチズムのある川崎Fの華麗なボール回しに翻弄されることが多く、前線、中盤の防御線は何度となく突破されていた。
しかし、浦和はアジア王者の底力を見せるのだ。
「(試合前に)球際を行けていないところは、監督の指摘もありました。『前から行ったときは(相手を)絶対に逃すな』って。まずは1対1で負けるな、というのはありましたね」(浦和・GK西川周作)
前半15分、その執念が実を結ぶ。敵陣で3度、ボールを取ったり取られたりを繰り返した後、長澤和輝がタイミングよく左サイドの宇賀神友弥を走らせ、その折り返しを、マークを外した興梠慎三が左足ボレーで叩き込んだ。
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