最下位にあえぐグランパス。「改革の痛み」にどこまで耐えられるか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Masashi Hara/Getty Images

 ボランチのMF長谷川アーリアジャスールもまた、「1点取られても、その後すぐに(同点ゴールを)取れて、せっかくいい流れになっているところで自分たちのミスで失点。後半立ち上がりも、これからいこうというところでの失点。相手は勢いがつくし、自分たちは(勢いが)なくなる」と、常に後手に回り続けた試合展開を悔しがる。

 ただのひとつの引き分けもなく黒星が8つも並ぶなどという事態は、いかに負傷者が続出したと言っても、名古屋の戦力から考えれば、理屈で説明するのは難しい。運も含め、負のスパイラルに陥っている。そうとしか言いようがない。

 とはいえ、泥沼にはまっている監督や選手から聞かれたのは、決してネガティブな言葉ばかりではない。

「選手は(自分たちがやろうとすることを)やり続けてくれた。精神的に強かったし、よくやった」(風間監督)

「戦う気持ちはよく見えた。最後まで戦う気持ちを出せたことには満足している」(FWジョー)

 加えて、幸いにしてというべきか、敗戦後のゴール裏では、サポーターが選手たちを拍手で迎えた。

 8連敗という結果ばかりでなく、内容的に見ても名古屋らしいサッカー――ボールポゼッションで相手を圧倒することが、必ずしもできているわけではなかったが、それでもゴール裏で声をからすサポーターは、チームがどんなことに取り組んでいて、今がどういう段階であるかを理解していた。

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