20年前に起きたJリーグ最大の悲劇。
そのとき「F」の選手たちは...

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 マリノスの親会社である日産もその旨を了承し、フリューゲルスはマリノスに吸収合併されることとなり、事実上、チームが消滅することになった。Jリーグもそれを、あっさり承認したのである。

 三浦は前日の夜、顔見知りの新聞記者から「チームがなくなるらしい」という話を聞かされていた。だが、三浦はその話をとても信じる気にはなれなかった。そんな大変なことが本当なら、まず選手に説明があってしかるべきだと思っていたからだ。

 クラブ内においても、そうした前兆すら感じなかった。それでも、なんとなく胸騒ぎがして、その夜、キャプテンの山口に電話を入れた。

「どうなんですか? 本当になくなるんですか、うちのチーム」

 三浦の問いかけに、山口は沈んだ声でこう答えたという。

「どうやら(チームがなくなるのは)本当らしい。ただ、細かいことはわからない」

 三浦は当時のことを思い出して、深刻な表情でこう語った。

「とにかく、チームが消滅するなんてまったく信じられなかった。佐藤工業の業績がよくないのは知っていたけど、『いきなり消滅はないだろう』って思っていたから。(吉田)孝行らにも電話をして話をしたけど、誰もその噂を信じていなかった。でも翌日の朝、クラブハウスが大変なことになっていた。『あ~、やっぱり(クラブがなくなるのは)本当だったのか』って、すごいショックを受けた」

20年前に起こった「悲劇」について語る三浦淳寛氏20年前に起こった「悲劇」について語る三浦淳寛氏

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