福田正博が訂正。「今年の名古屋は台風の目ではなく優勝候補でした」 (3ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 外国人選手を補強するときに、「大物」を連れてくればすべてが改善されると思っている人がいるならば、それは大きな間違いだ。野球では強打の4番打者が加入することでチームがガラッと変わることもあるかもしれないが、サッカーにおいてはどんな選手も11人の中のひとつのピースにすぎない。

 まずは、チームが土台をしっかり作って基本となる戦術を構築することが大前提。それに合う選手でなければ、どんな大物外国人選手であってもその能力が生きることはない。この点において名古屋の補強は理に適っていた。風間監督が目指す攻撃的サッカーに合致していたからこそ、ジョーは自分の持ち味を存分に発揮することができているのだ。

 仮に、守備重視のチームにジョーが加わっていたら状況は違っていただろう。守備からチームを作っていくこと自体はまったく悪いことではないが、相手からボールを奪うところまでを重視したスタイルだと、FWへの負担は大きくなり、ストレスを溜めることになる。ジョーのようにゴールへの意識が強く、海外の強豪クラブで厳しい生存競争を勝ち抜いてきた外国人FWならなおさらだ。
 
 FWがストレスを溜めない守備とは具体的にどういったものなのか。かつてアルゼンチンやチリの代表チームを率いたマルセロ・ビエルサ監督の練習を見たことがあるが、トレーニングでは前線からのチェイスでボールを奪うだけでなく、その後に攻撃に転じる際のポジショニングまで細かく指導していた。これは「失点を防ぐための守備」ではなく「攻撃に移るための守備」であり、それを理解していればFWもストレスを感じにくくなる。

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