FC琉球に入った播戸竜二「これまでの20年以上のものを得る予感」 (4ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

 だから、だんだん自分の役割の変化を感じながら、体に痛いところが出てきたり、回復が遅れたりするのを実感しながら、時に将来に不安も感じながら、サッカーをしている。そのことを自分が認めて楽しめるようになったら......おそらく、これまでとはまた違うサッカーの楽しさが見えてくる。ともすれば、その先の人生も見えてくるかも知らんしね。ってか、この1年は、その『先』もしっかり見つけたいと思ってる。

 でもこれは、何も引退を考えてサッカーをするって意味じゃない。目指すのは、チームのJ3優勝とJ2昇格。そこは揺るぎない。でも今回、初めて『引退』を考えて実感したから。いつかその日が来ても、あっさりと引退できるくらいの自分じゃないと、次の人生は拓(ひら)けないって」

 この20年、まとい続けてきた鎧の紐(ひも)を少し緩めたせいか、実に穏やかに、表情豊かに言葉があふれる。そのすべてをここで記すことはできないが、彼が沖縄の地でやりたいと思っていることも、やろうとしていることも驚くほど多い。一時は「引退」を考えていたとは思えないほどに、だ。

 そのことを素直に告げると、自信に満ちた顔で言い切った。

「じゃないと、沖縄にくる決断をした意味がない」

 プロになりたての頃のギラギラした彼とは違い、肩の力を抜いて、いろんな現実を受け入れて、だけど確かな情熱をその胸に抱いて、播戸はいま、沖縄にいる。

■第2回>J1を蹴ってタイに。そしてJFLに。 高木和道「人生ってわからない」>>

◆中島翔哉、代表初選出へ「ドリブルの国」では相手チームからも大絶賛>>

◆オファーはJ3クラブのみ。その時、播戸竜二は初めて「引退」を考えた>>

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