湘南、長崎、名古屋のJ1昇格3チーム。福田正博は残留できると見るか (4ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 そんな大物が、15億円近いとされる移籍金と、3年総額で約12億円の年俸で加入する。さまざまな苦労を経て這い上がってきたジョーが、Jリーグでどんなプレーを見せてくれるのか楽しみだ。

 前線にジョーが加わり、中盤には昨季途中から加入して存在感を示したガブリエル・シャビエルが残留したことで、攻撃陣は問題なさそうだ。一方で、守備陣は気がかりなところもある。

 風間監督のサッカーは、GK、CB、ボランチにビルドアップの能力が求められるのだが、ボランチの田口泰士(→磐田)が移籍したことは痛い。長谷川アーリアスールジャール(←大宮)を獲得したものの、タイプ的にCBと攻撃陣の中継役になれるかは不透明だ。

 また、CBも闘莉王が移籍してからは絶対的な存在が見つからず、ボランチ同様に不安を残している。CBとボランチでパスをつなぐことにリスクが生じると、"風間サッカー"の根底が揺らぐ。勝負を決めるCFとGKに能力の高い選手を獲得したため、降格争いに巻き込まれることはないだろうが、風間監督が課題にどう対処するかに注目したい。

 一方の湘南は、ワントップのジネイが甲府に移籍し、新たにイ・ジョンヒョプとアレン・ステバノヴィッチというふたりの外国人選手を獲得した。湘南らしい戦い方ができるかどうかは、彼らが前線でボールを収められるかにかかっている。

 J2首位で昇格を決めた湘南のサッカーは、人もボールも縦に入れていくスタイルだ。ボールを奪ったら前の選手にボールを預け、それを他の選手が追い越していく。そのため、前線で起点が作れないと、厚みのある攻撃ができなくなってしまう。

 計算の立つジネイの移籍は痛手なのだが、これは湘南にとっては"想定内"なのかもしれない。湘南は過去にも何度かJ1に昇格しているが、そのたびに主力級の選手が他のチームに引き抜かれ、再びJ2に降格してしまうことが多いからだ。

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