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内田篤人からの電話に絶句した
清武弘嗣。日本復帰の可能性は前にもあった (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Takashi Aoyama/Getty Images

 2017年8月のことだ。シャルケでの最後の練習に参加した帰路の出来事だった。内田のもとに欧州のあるチームとの交渉が決裂したとの連絡が入った。この時点では「最後の砦」と思っていたチームとの破談だった。

 だが、内田は落ち込むそぶりは見せなかった。もちろんその内心まではわからない。だが、さっそく次の動きに移ろうとしていた。つまり、帰国の決意を固めようとしていた。

「さ、引っ越しだ、引っ越し」

 そんなことをさらっと言いながら、内田は仲間のひとりに電話をかけた。

「篤人くん、どうしたんすか?」

 電話の相手は清武弘嗣だった。ドイツは夕方。日本は日付が変わる直前といった時間帯だっただろうか。

「キヨ! ただいま!」

 内田はそのひと言で現在の状況と心境を伝えた。清武は絶句し、数秒の間の後、絞り出すように言った。

「まじっすか。さらっと次、決まると思っていましたけど......」

 楽しげだが、どこかぎこちないやりとりは数十分も続いた。

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