大迫、平山、浅野...歴代得点王とは違う高校サッカーの「小さな怪物」 (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

「ここまでマンマークされたことはないですね。すごくしつこいなという感じで、やりづらかったです。でも、相手がマンマークでくるのはわかっていたので、そこでどういうふうにやろうかということは考えていました」

 マークにつかれながらも、飯島は冷静だった。自身が動き出すことで味方のスペースを作る役割を担いつつ、前半終了間際には三本木の一瞬の隙を突いてポスト直撃の決定的なシュートも放った。

 そして試合終了間際に生まれた決勝ゴールも、飯島の動きの鋭さがもたらしたものだった。味方が競り合ったボールにいち早く反応すると、追いすがる三本木と飛び出してきたGKを振り切って左足を一閃(いっせん)。このシュートは三本木の驚異的な粘りによって阻まれてしまったが、こぼれ球を2年生ストライカーのFW榎本樹(えのもと・いつき)が押し込んで、前橋育英に歓喜の瞬間が訪れた。

「打った瞬間、やっちまったなと思ったんですけど、樹がうまく詰めてくれたのでよかったです」

 ヒーローの座は後輩に譲ったが、マークを受けながらも常に隙を狙い続けた飯島の執念が実った瞬間だった。

 2年生のときから10番を背負い、準優勝に終わった昨年の大会でも全試合にスタメン出場。しかし大会を通じて1点しか奪えず、0-5と大敗を喫した青森山田(青森県)との決勝では途中交代の屈辱も味わった。

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