大迫、平山、浅野...歴代得点王とは違う高校サッカーの「小さな怪物」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 彼らに共通するのは、いずれも高校生離れしたフィジカルを備えていたこと。高さ、強さ、速さと、その特長は異なるが、身体的な能力が他の高校生よりも秀でていた。いわば早熟であり、だからこそ高校生年代の試合のなかでは図抜けた存在となり得たのだ(もちろん技術面も十分に備わっていたが)。

 一方で、高校時代に怪物と呼ばれた選手たちがその後、大成するケースは意外と多くない。高校時代には武器だったフィジカル面が、プロの世界に行けば特別なものではなくなってしまうからだ。そこだけに頼っていた選手が上のレベルで伸び悩み、苦戦する例は枚挙にいとまがなく、大迫や大久保のようにプロでも成功する選手はむしろ稀(まれ)と言えるかもしれない。

 ひるがえって、今大会で得点王に輝いたのは、初優勝を果たした前橋育英(群馬県)のFW飯島陸(いいじま・りく/3年)だった。強烈なフィジカルを備え持つという怪物の定義を持ち出せば、飯島はむしろその対極にある。

 身長166cm体重58kgと、体格は一般的な高校生の平均よりも劣るだろう。しかし、この小柄なストライカーがゴールを量産できたのは、類稀(たぐいまれ)なる能力が備わっていたからだ。

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