加地亮が28歳で日本代表を引退した真相。
「自分が壊れてしまうと...」 (4ページ目)
その決断は確かに、加地を苦しみから解放することにつながった。特に2010年前後になって、ようやく『ガンバの一員としてプレーできている』感を抱けるようになってからは、彼の中で再びサッカーの楽しさを実感する日々が蘇(よみがえ)っていった。
現に、その当時の加地からは「1対1の状況になっても、相手に抜かれる気がしない」という自信に満ちた言葉がよく聞かれた。その言葉の真意を改めて本人に尋ねると、こんな言葉が返ってきた。
「あの頃が本当に一番、純粋にサッカーを楽しめていたと思います。"タイトル"というプレッシャーはありながらも、それを上回る自信を備えられるようになったことで、プレーにも余裕が生まれていた。
そもそもディフェンダーって、SかMかで言えば"M"で受身のポジションだけど、当時の僕は気持ち的には完全に(相手よりも)上に立って、『来るなら来いよ』的なプレーができていましたしね。今振り返っても、プロサッカー選手としての充実感をすごく味わえていた時期でした」
最後の最後までチームメイトと
切磋琢磨しながらサッカーができて、
本当に幸せでした
そうして、心からサッカーを楽しめるようになった加地は、以降の人生でも常に、その"楽しむこと"を第一に考えた選択をするようになる。2014年6月に、かねてからの夢だった海外移籍を実現するべく、アメリカ・メジャーリーグサッカーのチーヴァスUSAに完全移籍をしたのも、そのひとつだ。
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