未完成のグランパス。「第2次風間革命」の嵐はJ1で吹き荒れるのか (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Nikkan sports/AFLO

 風間八宏新監督のもと、今季の名古屋はイチからのチーム作りを進めた。フロンターレスタイルを築いた風間理論と言うべき独特なサッカーを体現しようにも、おそらくひと筋縄ではいかなかったはずだ。実際に、FW佐藤寿人やFW玉田圭司ら実力者を補強し、リーグ屈指のタレントを揃え昇格候補の筆頭と見られていたが、リーグ戦では不安定な戦いが続いていた。

 6~7月の2ヵ月間では3勝6敗と散々な出来で、8月後半から9月にかけても4戦未勝利と苦しんだ。それでも、風間監督の地道な指導が徐々に実を結び始めたシーズン終盤は安定感を備えはじめ、自動昇格こそ叶わなかったものの、3位でプレーオフ進出を果たしている。

 その基盤となったのは、やはり攻撃力だろう。シーズン85ゴールはJ2のダントツで、風間スタイルの成果はしっかりと現れた。ただ一方で、65失点はリーグで6番目に多い数字だった。それゆえに不安定さが同居していたが、この福岡との大一番ではその課題を見事に修正し、90分を通して堅守を保ち続けた。

 もっとも、風間監督は「(やり方は)変えてないですね。やはり敵をどう動かすかということがすべてなので、そこはまったく変えていないです」と振り返る。

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