強いチームから勝てるチームへ。フロンターレ「黄金時代」への第一歩 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 そして、鹿島と勝ち点2差で迎えたJ1最終節。川崎が逆転優勝するには、大宮アルディージャに勝たなければいけないのはもちろん、鹿島がジュビロ磐田に負けるか、引き分けに終わる必要があった。川崎にとっては、目の前の相手だけに集中するのが難しい状況下での試合だったが、川崎らしい攻撃力で大宮を圧倒した。

 試合開始から1分経たずに先制すると、前半終了間際に追加点。これでほぼ勝負は決したが、後半に入っても攻撃の手を緩めず、さらに3点を追加した。

 あとは、鹿島の結果待ちだった。

 ピッチ上の選手たちに、鹿島の試合経過は知らされていなかった。とはいえ、キャプテンのFW小林悠は「(川崎の)試合が終わる前からベンチが喜んでいたので、勝った(優勝した)んだなと思った」。鹿島は最後まで磐田からゴールを奪えず、スコアレスドローに終わっていた。ふたつの試合はほとんど同時に終了し、川崎に初めてのタイトルがもたらされた。

 記念すべきシーズンの最後を締め括る、会心の勝利。だが、それはこの試合に限った特別なことではなく、中村は「(ホームの)等々力では、こういう攻守に圧倒する試合をいっぱいやってきた」と胸を張り、こう語る。

「攻守にスキのないチームを作ろうと言ってやってきて、それは数字にも表れた」

 川崎の総得点71はJ1最多。総失点32も、J1最少の磐田とわずか2点差の3位である。最終的に鹿島と勝ち点72で並びながらも、ものを言ったのはJ1最多の得失点差プラス39だった。

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