強いチームから勝てるチームへ。
フロンターレ「黄金時代」への第一歩 (3ページ目)
だが、そんなとき、鬼木監督は選手たちに向かって、こう話したという。
「(主導権を)握り倒して攻めるんだ」
43歳の指揮官は、ただ攻撃から守備へと大きく舵を切るのではなく、あくまでも攻撃が自分たちの最大の長所であり、武器であることを忘れなかった。つまりは、勝てるチームを目指す一方で、強いチームであることも捨てなかったわけだ。
だからこそ、「高次元で攻守がまとまるチームになった」と中村。川崎ひと筋の37歳は、「攻撃的なのがフロンターレの文化だが、足りないものもあった。フロンターレのよくないところをつぶして、つぶして、できたのが今のチーム」だと語る。
ルヴァンカップ決勝とACL準々決勝でショッキングな敗戦を立て続けに喫したことは、精神的にたくましくなるきっかけにはなった。だがそれより、MF家長昭博が「年間を通して、成長できている部分はたくさんあった。そこには自信があった」と話すように、着実に積み上げてきたものがあったからこそ、気持ちを切り替えることもできたのだろう。鬼木監督は言う。
「苦しい時期もあったが、自分自身も、選手も、成長している実感はあった。だから、苦しさのなかでも楽しめていた」
首位の鹿島アントラーズには、最大で勝ち点8差をつけられても、優勝を諦めることはなかった。「鹿島が勝ち続けることは、苦しかったが、モチベーションにもなった。フロンターレの潜在的な力が引き出された」と中村は語る。
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