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強いチームから勝てるチームへ。
フロンターレ「黄金時代」への第一歩 (5ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 強いチームから勝てるチームへ──。川崎が今季見せたその歩みは、J1初制覇を果たしたときのサンフレッチェ広島によく似ている。

 広島は2012年、ペトロヴィッチ監督がおよそ6年間指揮を執ったあとを引き継ぎ、森保一監督が就任。森保監督は前任者が作った強いチームを勝てるチームに仕上げ、就任1年目にして広島に初優勝をもたらした。

 しかも、一度殻を破り、勝利の味を知ったチームは強かった。その後、広島は2013年に2連覇を果たすと、2年後の2015年にも3度目の優勝。実に4年で3度のJ1制覇という偉業を成し遂げた。

 風間監督が作った強いチームをベースに、鬼木監督が勝てるチームへと仕上げる。あたかも広島の足跡をたどるように変貌を遂げた川崎にも、当然、黄金期が訪れる可能性は十分にある。中村も「これをベースにバージョンアップしていけば、もっともっと強くなる」と自信を見せる。

 就任1年目にして大仕事をやってのけた鬼木監督は、初々しさを漂わせつつも、「このサッカーが世界に通用するものだと信じている」と堂々と言い切り、こう続ける。

「バルサやレアルと10回やって、1回の勝ちを狙うならカウンターでもいいかもしれない。でも、自分たちで握って攻めて、そういうサッカーをすれば、もしかしたら五分まで持っていけるかもしれない。そう信じてやっている。自分たちが日本サッカーの先頭に立っていければという思いはある」

 勝った者が強いのではない。強い者が勝つのだ──。

 川崎が初タイトルの先に目指すのは、きっとそんな境地に違いない。

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