チグハグなサッカー。それでも、サンフレッチェは瀕死状態から脱した (5ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Takashi Aoyama - JL/Getty Images for DAZN

 ヨンソン監督も「選手は100%のパフォーマンスではなかった」と言い、「考える時間が長く、攻撃が少し遅かった」と苦言を呈しつつも、「守備は規律よくやっていた。心配はしていなかった」と称える。

 こうやって結果が出続けることで、選手たちも手ごたえをつかみ、苦しい展開でも勝利を信じて粘り強く戦えるようになる。ある意味では試合内容の良し悪しよりも、これこそが苦境を脱するために不可欠な要素なのだろう。指揮官も満足げに語る。

「勝ち点3を取って帰ろうという強い気持ちが相手を上回った」

 ロスタイムに2点を奪い返す劇的な勝利に、森﨑もまた、「今日の試合は自信にしていい。チームにようやくまとまりが出てきた」と語り、表情をほころばせる。

 次節(第28節)、広島には14位コンサドーレ札幌との対戦が待っている。わずか勝ち点1差で争うライバルとの直接対決に勝てば、両者の順位は入れ替わる。と同時に、トップ3(鹿島アントラーズ、川崎フロンターレ、柏レイソル)との対戦を残している広島にとっては、ぜひとも勝っておきたい試合でもある。

 広島がじわじわと調子を上げてきたとはいえ、降格圏の16位ヴァンフォーレ甲府とは勝ち点2差。まだまだ予断は許さない。それでも、最悪の状況は乗り越えた。そう言って間違いあるまい。

 かつてのJ1王者を取り巻く事態は、確実に好転し始めている。

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