ケガを味方にして己を高めた石川直宏。
引退を発表も「まだ終わりじゃない」 (2ページ目)
「自分としては、ここで終わり、というのが嫌なんです。ケガを克服して、ピッチに立って、自分らしい姿を見せたい。周りにも、そして自分にも、"復活したぞ"というのを見せつけてやりたいんです」
そう語る石川の目は、爛々(らんらん)と輝いていた。彼は言うなれば、ケガを克服するスペシャリストである。
「俺はケガを乗り越えることで結果を出してきました」
そう言う石川は常に自分と対峙してきた。
「ケガに関しては、起こったことを受け入れよう、と自分に言い聞かせてきました。自分の足だし、膝なわけだから、向き合う必要があるし、マイナスには捉えないように。不安はあっても、そういうことすべてを含めて自分だから。ケガはアスリートとしていいことではないかもしれないけど、自分に与えられた試練のひとつだと思っています。ケガのたびに身体のメンテナンスをしてきましたね。付近の筋肉を強化し、コンディションを整え、"修理に出した車の足回りがいい"みたいな感じになるんです。自分はケガのたび、しっくりといく動き方ができるようになりました」
石川は衒(てら)いもなく語った。事実、ケガのたびに逞しくなっている。
2 / 4