主将と点取り屋の葛藤。川崎F・小林悠は「自分のゴールも大事ですもん」

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

川崎フロンターレ・小林悠インタビュー(後編)

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 川崎フロンターレ小林悠は、寝室の扉の内側に目標を書き記した紙を貼っている。その場所を選んだのは、起床とともに毎朝必ず見ることで、より強く意識できるからだという。

 2017年になって、新たに書き直した紙は全部で3枚。うち2枚には「タイトル」と「全試合出場」の言葉が綴られている――。

点を取ることへのこだわりは以前と変わらない小林悠点を取ることへのこだわりは以前と変わらない小林悠

 今季から指揮官が鬼木達監督となって、キャプテンを任されるようになった小林に、チームの何が変わったのかを聞けば、こう答えてくれた。

「昨季までは攻撃のところに特化していて、その分というわけではないですけど、やっぱり簡単な失点というか、チームとしてオーガナイズできていれば防げた失点というのがあった。オニさん(鬼木監督)は、その隙を出させないというか、攻撃しているときもリスク管理をするとか、攻撃している中でも守備時のマークを確認させるなど、守備の意識を徹底してくれている。

 今まではどちらかというと常にイケイケな感じでしたけど、今季は(谷口)彰悟とか(大島)僚太が、しっかりバランスを取ってくれている。チームとしても、勝つために今、攻撃に打って出ていいのか、それともボールを大事にしたほうがいいのか、というアンテナを張れるようになった」

 今季の川崎には手堅さがあり、試合巧者のようにすら見えるのはそのためだろう。今年の1月1日、天皇杯決勝で敗れて、その悔しさから小林は勝つことにこだわるようになった。「たとえオウンゴールで勝っても、勝ちは勝ち。勝ち点3がプラスできるならば最高にうれしいし、それでいいとすら思えるようになった」とまで言う彼の姿勢は、確実にチームにも伝播している。

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