「フジタ」撤退から激動の10年。
それでもベルマーレは消滅しなかった (3ページ目)
「方法は2つ。代わりのスポンサーを見つけるか。自力で何とかするか。(結局)スポンサーが出てきてくれなかったので、自力での運営を目指すことにした」
「年間予算は今季の17億円から10億円に」「フジタから若干の支援はあるが、赤字補填はない。赤字を出したらチームを続けることはできない」「とにかく30試合を行なうことに集中する」「そのゲーム運営費はこれまでの1試合570万円から半分にする。だから警備は雇えない。チケットのもぎりは社員がやる。印刷物も作れない。サービスが悪いと言われたら私が頭を下げる」
「選手人件費は10億円から4億4000万円に」「主力は放出せねばならない。ある程度戦えるチームを作りたいが、人気選手が出ていって『カスみたいなチーム』と言われるかもしれない」「そうなると入場料収入で3億円は難しいかもしれない」
「それでも、とにかく来シーズンはやる。どうしてもやっていけないということになれば、手を上げるしかない。フリューゲルスの例もあるわけで」......。
語られた内容は、殺伐としたものばかりだった。半減する予算、低下するサービス、主力を放出した"カスのようなチーム"......。
だが、そこには「チーム存続」という明確な意志があった。親会社の撤退でチームを消滅させるのではなく、それでも存続させるためには――その続きを重松は滔々と語り続けたのである。
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