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高松大樹の忘れられない光景。
「ゴール裏を見たとき、本当に鳥肌が立った」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Sportiva

 それでも、高松の大分に対する想いは揺らぐことなく、翌年に復帰すると、チームのJ1昇格に貢献している。

 実は財政難に陥る前にも、高松には他チームに移籍するという選択肢があった。たしかにアテネ五輪に出場し、日本代表も経験したストライカーに、強豪クラブからオファーがなかったとは考えづらい。選手の立場としても、より優勝の可能性の高い、あるいはステップアップできるクラブでプレーしたいと考えるのは、自然な想いだろう。

「そういう気持ちは、若いころはありましたよ。優勝できるチーム、成長できるチームに行きたいって。実際にレッズからオファーがあったときは、行こうと思っていました。闘莉王や(田中)達也とか、(鈴木)啓太とか、同年代の選手もいましたから、彼らと一緒にプレーしたいって」

 ではなぜ、移籍しなかったのか――。その疑問に高松は、実にシンプルに回答した。

「やっぱり、大分だからですかね。あのときは署名活動もあって、みんなに残ってくれと言われたんです。こんなに僕のことを思ってくれる人がいるんだから、出ていくことなんてできないでしょ。大分の人たちと出会ってなかったら、たぶん行っていたと思う。いいときも、悪いときも、本当に支えてくれましたから」

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