高松大樹が語るトリニータ愛。
「本音を言えばJ1に上げて引退したかった」

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Sportiva

 大黒柱となった高松を中心とする大分は、着実にチーム力を高めていった。昇格1年目の2003年は14位、2004年は13位と一歩ずつ前進し、残留争いに巻き込まれた2005年は、シーズン途中に就任したシャムスカ監督(現:アル・ガラファ/カタール)の手腕によってV字回復を果たし、結果的に11位でシーズンを終えた。

 さらにGK西川周作やMF梅崎司(ともに現:浦和レッズ)ら若手の台頭があった2006年は8位と躍進。翌2007年はふたたび残留争いを強いられたが、2008年にはついにクラブ史上最高の瞬間が訪れる。清水エスパルスを下して、ナビスコカップ(現:ルヴァンカップ)で初優勝を飾るのだ。

「現役での一番の思い出は、やっぱりナビスコカップでの優勝ですね。タイトルを獲ることが夢だったので。九州にある地方クラブがまさかタイトルを獲るなんて、多くの人が思ってなかっただろうし、あの試合でトリニータを全国の人にアピールできたと思います。自分自身もあの試合でゴールを獲ることができた。ゴールはすべて嬉しいですけど、あの得点がやっぱり一番忘れられないですね」

 自身のゴールで大分にタイトルをもたらした高松は、この大会のMVPも獲得。しかし、この栄冠をピークに、高松と大分の運命は、転落の一途を辿ることとなる――。

(後編に続く)


【profile】
高松大樹(たかまつ・だいき)
1981年9月8日生まれ。山口県出身。小学3年生のときにサッカーをはじめ、進学した多々良学園高(現・高川学園高)ではインターハイや選手権で活躍する。2000年、大分トリニータに加入。2011年のFC東京時代をのぞき、プロ生活17年のほとんどを大分でプレーする。身長183cm。ポジションはFW。

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