永井秀樹「何ひとつ、夢はかなって
いない。だから45歳までやれた」 (4ページ目)
バブル世代は、見た目はチャラチャラしていても、仕事はひと一倍こなした。草食系は少数派で、男も女もガツガツしていた。ビジネスマンは残業や徹夜が当たり前で、テレビからは「24時間、戦えますか」と、栄養ドリンクのコマーシャルが流れていた。
永井もまた、そんなバブル世代のサラリーマンのように、黄金期のヴェルディで「遊ぶときは遊ぶ。(仕事やサッカーを)やるときはとことんやる」という精神を、先輩たちから叩き込まれた。
考えてみれば、49歳のカズもヴェルディOBだし、同じくヴェルディOBのラモスも41歳まで現役を続けた。永井を含めて3人ともW杯には縁がなかったが、40歳を過ぎてもプレーできる、あるいはできたのも、サッカーに取り組むうえで共通の何かがあるのかもしれない。
理想とする「引き際」があった20代
永井はなぜ、45歳まで現役を続けることができたのか。
実は、永井自身は長く現役を続けること自体に、あまりこだわりはなかった。引退セレモニーでも、こう語っている。
「大切なことは、どれだけたくさんのことをしたか、ということよりも、どれだけ心を込めてやってきたか、だと思います」
永井は長く現役を続けること以上に、プロサッカー選手として、見る者にどれだけ"感動を与えられるか"にこだわってきた。
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