石井監督を讃えよう。レアルも驚く鹿島の「攻めながら守る」サッカー (2ページ目)
こちらの期待が萎みかけたその瞬間だった、土居が勇敢なプレーに転じたのは。再度、大きく切り返すと縦突破を敢行。深い位置から左足でマイナスのセンタリングを送り込んだ。それが柴崎の同点ゴールにつながったわけだが、もし右足で送球していたら、ゴールは生まれていなかったと確信する。
シューターの柴崎にとって、合わせやすいのはマイナスの折り返しだ。ディフェンダーとボール、そしてゴールを、同時に視界に捉えることができるからだ。一方、中央で待ち構えるセンターバック(この場合はラファエル・ヴァラン)にとって嫌なプレーもマイナスの折り返しだ。ボールの出どころとマーカーとを同じ視野に入れることが難しいからだ。
だが、縦抜け&マイナスの折り返しの決断には勇気が必要とされる。しかもその時、土居はR・マドリードのディフェンダー2人に囲まれていた。
脚光は、ゴールを決めた柴崎に当たりがちだが、試合を接戦に持ち込む重要なゴールをお膳立てした、土居の果敢でダイナミックなプレーも、それと同じくらい価値がある。もっと称賛されていいプレーだ。
この柴崎の同点弾は、今大会で鹿島が挙げた通算8ゴール目だ。そのうち、流れの中で決めた7ゴールには、すべて共通するポイントがある。
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