なぜ大物が日本に? 東京ヴェルディ、ロティーナ新監督の抱える事情 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 ロティーナ本人にも事情はあった。

「今もまだ、あのときのツケを払っている」
 
 本人がそう洩らしているとおり、ロティーナは2012年、シーズン途中から率いたビジャレアルを降格させてしまった。

 2011~2012シーズン、チャンピオンズリーグに出場していたビジャレアルは、2人の監督を更迭し、リーガで降格の危機を迎えていた。ロティーナはその救世主として迎えられ、守備をてこ入れ。3勝5分け3敗という成績を残している。決して悪い仕事ではない。しかし最終節、「引き分ければ残留」というアトレティコ・マドリード戦。残り2分で失点し、降格の憂き目を見た。

 しかもそれは、ソシエダ、デポルティーボに続く、3チーム連続(07,11,12年)の降格だったのである。

「守備戦術にお墨付きがあっただけに、評判が急落した」とスペイン人記者たちが洩らすように、世界最高峰リーガでは再就職の道が険しくなった。

 ロティーナは捲土重来を期し、海外との交渉に強いプロネオスポーツと契約した。そして積極的に、国外に働き場所を求めるようになった。ギリシャ、カタールのクラブを指揮。昨季はカタールの2部のクラブ、アル・シャハニアを1部に昇格させている。もともと「昇格請負人」の異名を取ったことがある指揮官だけに、真骨頂と言ったところか。

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