日本代表が「競争原理の働くチーム」に生まれ変わったサウジ戦 (2ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 1年5カ月ぶりの代表招集となった大迫勇也は、サウジアラビア戦ではゴールこそ決められなかったものの、1トップとしてポストプレーで攻撃の起点となり、期待どおりのプレーをしてくれた。

 ハリルホジッチ監督の目指す縦に速いサッカーでは、1トップの役割が大きい。シュートを決めることはもちろん、前線でボールをおさめ、2列目以降の選手たちがゴール前に走り込む時間を作ることもFWに求められる。こうした役割を、大迫はポストプレーでのボールキープ力を生かして十分に果たした。

 ボールキープだけを考えるなら、本田を1トップに起用する策もある。本田も高いレベルでポストプレーのできる技術とフィジカルの強さを持っているし、実際、オーストラリア戦では1トップに起用された。ただし、ポストプレー以外にもDFラインとの駆け引きや豊富なシュートバリエーションなど、FWに求められる能力をオールラウンドに備えている大迫のほうが1トップとして適任だろう。その大迫が久しぶりの代表招集でいいパフォーマンスを見せたことは、今後のW杯最終予選を考えると大きな意義を持つはずだ。

 日本代表を再浮上させた原動力の原口、清武、大迫の3選手に共通しているのは、まだ日本代表として何も成し遂げていないということ。「ロンドン五輪世代」の彼らは、これまで常にひとつ上の本田や長友佑都、岡崎ら「北京五輪世代」の陰に隠れてきた。それだけに「次のW杯ロシア大会では、主軸として自分の力を証明したい」という強い覚悟や渇望感が、プレーに表れているように感じる。

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