風間八宏のフロンターレ5年間を象徴。大久保嘉人なしで成り立つのか (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 強豪のイメージがありながら、川崎Fには長く、「勝負弱い」というレッテルも備わっている。2度目の昇格を果たした2005年以降、リーグ戦で三度、2位になってはいるものの、カップ戦も含めてタイトル獲得は一度もなし。今回で四度目の"準優勝"である。

 もともと攻撃力に定評があったチームは、2012年途中に風間八宏監督が就任すると、より洗練された攻撃サッカーを体現することになる。2012年は8位、2013年は3位、2014年と2015年は6位と、常に上位争いを演じながら、年々、風間スタイルの成熟を図ってきた。

 その風間監督が、今季かぎりでの退任を発表した。理論派の指揮官が標榜(ひょうぼう)する独自のスタイルは、すでに多くのメディアで論じられているためにここでは深く説明しないが、今回のG大阪戦、とりわけ前半の戦いを見るにつけて思うのは、ある意味で掴みどころがないサッカーだということだ。最低限の規律のなかに自由があり、複雑でありながらそのロジックはシンプル。ポジションやシステムも型にはまっていないが、ゴールを奪うための合理的な道筋をチーム全体で解き明かそうとする、明確な意思が強くうかがえた。

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