高校サッカー埼玉の古豪・武南が
10年ぶりの選手権へ新鋭・昌平に挑む (2ページ目)
「今年こそ全国へ」と臨んだ今夏のインターハイ予選では、まさかの3回戦敗退。今年の高円宮杯U-18サッカーリーグ・埼玉県S1リーグで、2勝0敗と相性がいいはずの市立浦和に1-2と競り負けた。チームを率いて44年になる大山照人監督は、その敗因をこう分析する。
「近年のトーナメント形式の大会では、試合ごとにゴール数に大きく差が出てしまう傾向があって、市立浦和との試合でもその悪いところが出てしまいました。何度もゴール前まで攻め込みながら最後のところで決めきれず、逆に、ウィークポイントであるフリーキックから2失点を喫して、余計に焦ってしまいましたね」
全国と縁遠くなって「古豪」と呼ばれることも多くなった武南だが、決してチームの力が落ちたわけではない。大山監督が指導で徹底してきた、両サイドからの攻めに重点を置く「ピッチを広く使うサッカー」を実践し、昨年のU-18リーグでは、県内の強豪が集うS1リーグを優勝。今年も同リーグでここまで15勝1敗1分で首位に立っている。それだけに、「武南はトーナメントで勝てない」という印象が際立ってしまうのだが、その状況を打破するため、大山監督はインターハイ予選後に選手の意識改革を図った。
「選手たちには『自分が決めないとチームが勝てない』と、得点への意識をより厳しく指摘してきました。その効果か、ボールの受け方やゴール前への入り方の質は試合ごとによくなってきたと思います。以前のように、無得点で負けることは少なくなりました」
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