どん底の森﨑浩司を救った、森保一監督とふたりだけの早朝ランニング (5ページ目)
交代でピッチを出るとき、森﨑浩司は森保一監督と抱き合った 今シーズンの公式戦初先発となった、9月4日のルヴァンカップ準々決勝・ガンバ大阪との第2戦。後半7分、得意の直接FKからゴールを決めたとき、本人は「無意識だった」と振り返ったが、浩司はベンチに向かって走っていた。途中でチームメイトに抱きつかれたが、きっと自然に指揮官のもとへと足が向いていたのだろう。
正式に引退することを森保監督に報告したのは、いつものように、青空の下だった。いつものようにふたりで芝生に腰を下ろすと、こう伝えたという。
「いろいろ考えましたけど、今シーズンで引退することに決めました。俺、自分にとって最後の監督が森保さんでよかったです」
指揮官は、「目にゴミが入っちゃったな」と言って、目をこすりながら笑ったという。
10月29日、アビスパ福岡とのホーム最終戦を終え、浩司の引退スピーチを見届けた森保監督は、彼についてこう語った。
「これからの彼の人生のことについて言えば、どんな困難や壁に立ちふさがれようが、それを乗り越えていけると思う。自分らしく受け止めながら、苦しいこともやり過ごしていける力を身につけてきたと思う」
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