U-13の試合詳細データから、日本サッカーの方向性が見えた (3ページ目)
ただ、LAVIDAはラインを下げて守備固めをしていたわけではない。ペナルティエリア付近でのプレーが多かったと出ているFWの18番が前線で動き回り、相手のミスを誘う。そこで2列目の9番、16番がこぼれ球を拾ってチャンスにつなげるシーンが多くあった。実際に先制ゴールのシーンも、18番がプレッシャーをかけて鹿島のDFラインのパス回しにほころびが見えたところを9番がカット。そのボールが18番の足もとに収まり、開始6分でのゴールにつながったのだ。
今回は得点に結びつくことはなかったものの、両チームの"仕掛ける意識の高さ"も特筆すべきところだろう。300本近いパスをつなげた鹿島つくばJYも、先制されて前がかりになっていたこともあるだろうが、16回もドリブルで仕掛ける場面があった。これは同様に計測されたJリーグの1試合平均のドリブル数を軽く上回るほどの多さだという。
対するLAVIDAのドリブル14回という数字がインパクトスタッツに取りあげられたのは、街クラブながらタレント揃いのJユースチームと同等の仕掛けを見せた点が評価されてのこと。少し前まで隆盛を誇っていたスペインに代表されるパスサッカーに代わり、現在では「自ら仕掛けられる選手を育てる」ことに重点を置いた、日本サッカー界の育成のトレンドが垣間見える。
それぞれの戦術の違いだけでなく、育成の方向性まで明らかにするデータ。これから上級生を相手にレギュラーを目指す選手たちにとっては、自分のプレーを省みる大きな財産になるだろう。そうして成長した選手のなかから、全国で名を馳せるまでのスターが出てくるのか。今から楽しみだ。
■写真提供:ニューバランスジャパン データ提供:データスタジアム
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