ポーランド移籍も封印。豊田陽平「だから鳥栖はやめられない」 (6ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO

 酷烈な練習が勝負強さにつながる――。その哲学は鳥栖のアイデンティティと言える。鍛えられるほどに、強くなっていく。伝統としてきた「朝日山の激走」はフィッカデンティ体制では行なっていないが、"走り勝てるチーム"として整備されている。

「プ レシーズンが始まって、開幕まで一回だけしか、練習もオフにならなかったですね。こんな休めないことはあるの? という感じで、今シーズンは始まりまし た。そして開幕してからも、週5日は練習(1日は試合)。真ん中には必ず2部練習があるし、試合前日もセットプレーなどを入念にやる。練習時間もウォーム アップからして20分以上時間をかけてやるから、かなり長いですよ」

 今シーズンは主力選手を失い、守りは手薄になり、攻撃力も確実に減退している。しかしセカンドステージに向け、青木剛など有力選手を補強。走りに走って鍛えられたチームは、臨戦態勢を整えつつある。

  エース豊田には八面六臂(はちめんろっぴ)の働きが期待される。彼が前線でポイントを作ることは守りにもつながり、相手のセンターバックを著しく消耗させ る。そしてなにより、得点力は絶大。ファーストステージも、チーム得点の半分は豊田によるものだった。セカンドステージ開幕戦のように、勝利に直結するも のも多い。戦力的に言えば、質の高いクロスを入れられる右サイドバックがいたら、豊田のゴールは倍加しそうだが......。

「ミスを怖がらず、勇気を持って前にボールを入れてほしい」

 豊田は仲間たちに向かい、堂々と要求する――。そこに、実績を残してきたストライカーの矜持(きょうじ)があるのだ。

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