フットサル界のレジェンド。甲斐修侍が「引退を決めた理由」を語る (3ページ目)

  • 河合拓●取材・文 text by Kawai Taku
  • 高須力●撮影 photo by Takasu Tsutomu

 でも、その時点で2016-2017シーズンの現役続行は選手権以前に決まっていましたし、さらに長年、契約していただいているアスレタさんが新たにシューズを展開し、俺モデルのシューズのお話もいただいていて、このタイミングで引退してしまうと、そのシューズを履く機会もなく引退になってしまう(笑)。そういうことも重なり、もう1年やるしかないな、と思いました。

 普通に考えたら、44歳の選手がトップリーグの試合に出るなんて簡単なことではないし、難しいことだということはわかっているつもりです。でも、やる以上はチーム内のポジション争いや、チームの活性化を図れるひとりにならないと、やる意味がありません。それを含めて、これまでの最大限の準備と努力をしないといけないという決意を持ってシーズンを迎えたのですが、始動前に風邪をこじらせてコンディションを崩して約2週間寝込んでしまったのは誤算でした(苦笑)。第2節のヴォスクオーレ仙台戦で今季初出場できましたが、正直、こんなに早く出場できるとは思っていませんでした。

 引退することは、クラブの発表まで誰にも言っていませんでした。ウワサで広まるよりは、オフィシャルで発表して、間違いない事実にしたかったからです。唯一、知っていたのは広報の増山(竜平)さんだけですね。増山さんに事前に、「(引退発表用の)コメントを送ります」と伝えたところ、「公式HPに掲載するかは届いてから考えます」と言われたんです。それで本当に送ったら、電話がかかってきて、「これ、本当に出すんですか?」って聞き直されました(笑)。

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