「俊輔のチーム」F・マリノスから芽吹いてきた新たな戦力

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 横浜F・マリノスは、中村俊輔のチームなのだと、改めて思い知らされた試合だった。

 J1ファーストステージ第4節、対サガン鳥栖戦。F・マリノスは2-1で勝利した。2ゴールはいずれも、中村が決めたものではなく、アシストもしていない。

 それでも、中村の存在感は際立っていた。

 ここはスピードアップして、一気に攻めるところ。ここはスローダウンして、ボールをキープするところ。そうした判断をちょっとしたポジショニングやパスの選択の違いによって、チーム全体に伝えていく。試合の機微を読んだ手綱さばきは、さすがのひと言だった。

 だが、そんな"俊輔のチーム"にも少しずつではあるが、新たな魅力が生まれ始めている。

 すなわち、未来への期待を抱かせる、若い戦力の台頭である。

サガン鳥栖戦でも貴重な先制ゴールを決めた富樫敬真サガン鳥栖戦でも貴重な先制ゴールを決めた富樫敬真 FW富樫敬真(22歳)、MF遠藤渓太(18歳)、MF喜田拓也(21歳)。

 この日のF・マリノスの先発メンバーには、彼ら3人が名を連ねていた。すでに昨季から主力としてピッチに立っていた喜田を除けば、富樫は関東学院大から、遠藤はF・マリノスユースから加わったルーキーである(富樫は昨季も、特別指定選手として4試合に出場した)。

 率直に言って、彼らはまだまだ粗削りだ。特に経験の浅い富樫や遠藤には、それが目立つ。しかし、裏を返せば、まだ能力を持て余してプレーしているということ。伸びしろは存分に残っているということでもある。

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