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3強を抜いた川崎フロンターレが見せる、最もモダンなサッカー (3ページ目)

  • 木崎伸也●文 text by Kizaki Shinya
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 風間監督には、ボールを奪いに行くか、行かないかの、明確な判断基準がある。ボール保持者に対して、うまくパスコースを消すことができ、相手が下を向いたり、躊躇したりしたら、一気に詰め寄ってボールを奪おうとする。一方、もしパスコースを限定できておらず、寄せられないときには、後ろにいる敵の位置を“背中”で感じてパスコースを予測し、そのコースと駆け引きをする。あえて特定のコースを開けてパスを出させてカットしたり、もしくは一番危ないコースを消してプレーを遅らせたりするということだ。

 風間監督はドイツで5年間プレーしたときの経験をこう語る。

「ドイツに行って一番驚いたのは、コースがあると思ってパスを出すと、すっと足が伸びてくることだった。キックフェイントでパスを出すのをやめたとき、一斉に敵の足がパスコースに出てきたことがあった。組織で守ることも必要だが、それ以前に彼らは、ひとりひとりが守れる範囲がすごく広かったんだ」

 刺激を受け、風間監督は得意だった守備にさらに磨きをかけた。もしひとりひとりが広い範囲を守ることができれば、ボールを失っても後ろに戻る必要がなくなり、体力をより攻撃に割けるようになる。

 ただし、この感覚を選手たちと共有するのは簡単ではなかった。2013年、フロンターレは開幕から6試合も勝てず、メディアから批判の声があがった。おそらく選手たちも戸惑っていただろう。今考えれば風間監督も、攻撃に比べると、守備に関してはそこまで言葉を噛み砕けていなかったかもしれない。

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