レッズ撃破のジュビロ「たまに勝って喜ぶチームになりたくない」 (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 とはいえ、かつては常に鹿島アントラーズと覇権を争い、J1屈指の強豪として名を馳せた磐田である。

 狙いどおりの勝利も、言い換えれば、相手の攻撃に耐え、我慢することでしか手にできなかったものだ。そこに隔世の感を覚えるとともに、一抹の寂しさを感じないわけにはいかない。

 豪華布陣を誇った黄金期のチームに憧れ、2003年に磐田入りした大井は言う。

「浦和のホームで勝つのが難しいことは承知している。勝ち点3が取れてうれしいし、みんなある程度満足したとは思う。でも、たまに勝って喜ぶようなチームになりたくない」

 キャプテンマークを巻くMF上田康太もまた、「今日は最低限やるべきことはできた」と言いつつも、こう語る。

「もっと自分たちでボールを動かして、迫力ある攻撃を仕掛けたい。守備だけのチームじゃないところを見せたいし、内容にこだわってやりたい」

 選手たちは、決して今の戦い方に納得しているわけではない。何より磐田の黄金期を選手として支えてきた名波監督が「これがやりたいサッカーではない」と、きっぱり言い切っているのだ。誰もこのままでいいとは思っていない。

 かつての黄金時代から一転、ここ数年は地獄を見た。3年ぶりのJ1復帰を果たしたとはいえ、磐田はまだまだ復活の途上にある。

 Jリーグ史上最強とまで言われた元・王者は、ここからどんな逆襲劇を見せてくれるのか。磐田と名波監督の挑戦に注目したい。

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