「帰ってきた天才」柿谷曜一朗は、セレッソをJ2から救えるか (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sho Tamura/AFLO SPORT

 例えば、ガンバ大阪の宇佐美貴史は昨季、左サイドで窮屈そうにプレーしていたけど、それをどう乗り越えていくのかが、彼の課題になっている。日本代表FWの岡崎慎司(レスター/イングランド)にしても、サイドに置かれた最初は何もできなかったけど、最終的には自分のモノにしていった。同様に柿谷も、窮屈なサイドでどういうポジションを取ったら、相手の脅威になり、守備のバランスを崩さずにやれるか、それらを学んでいく必要がある。守備もキチッとできて、選手としての幅を広げて育っていったほうが、柿谷のためにはいいと思っている」

 大熊監督は、2014年シーズンの前半戦で柿谷が研究されて力を発揮できなかったことや、スイスでほとんど試合に出られなかったことを憂慮していた。ここ2年間、柿谷はまったく結果を出していないからだ。しかし“柿谷再生”なくして、J1昇格は語れない。それには、柿谷も選手としての完成度をより高める必要がある。そのため、大熊監督はあえて柿谷の主戦場をサイドにしたのだ。

 だからといって、柿谷のレギュラーが確約されているわけではない。左サイドのポジション争いは、かなり熾烈だ。新加入のFWブルーノ・メネゲウ(ブラジル出身。大連阿爾浜/中国→)は、迫力のある突破が持ち味で、球際での強さを誇る。大熊監督の評価も非常に高い。また、ツエーゲン金沢から移籍してきたMF清原翔平も、動きが素早く、当たり負けしない選手として、高い存在感を示している。柿谷が最もレギュラーの座に近い位置にいるとはいえ、うかうかしてはいられない状況だ。

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