【育将・今西和男】小林伸二「明日から広島ユースの監督をやれ、と言われて」
『育将・今西和男』 連載第20回
門徒たちが語る師の教え 清水エスパルス監督 小林伸二(2)
グラウンドで指示を出す清水エスパルス・小林伸二監督(中央) (c)S-PULSE
それは晴天の霹靂(へきれき)だった。
「お前、明日からユースの監督をやれ」
1993年にサンフレッチェ広島の下部組織として、サンフレッチェユースが立ち上がった。そこの指揮官に今西はいきなり小林伸二を指名したのである。決して潤沢な強化予算を持つわけではなく関東、関西からも距離のあるチームにとって、育成の組織が必要であることは小林自身も痛感していた。しかし、よもやいきなり自分に、その任務が回ってくるとは思ってもいなかった。
「『えっ、俺 ですか!』って感じですよ」。後に名将と呼ばれるJ1昇格請負人も当時は初々しかった。
「明日からお前は監督と言われたときは本当に照れくさくて。だって監督って呼ばれたことが、それまではないんですから。本当に突然言われて、驚きましたよ」
対して、今西は小林の抜擢をこう考えていた。
「あれは選手のときから、情熱がえっとあったからのう。高木(琢也)なんかを指導しとるのも見とったし、若い10代を教えるんには最適じゃ、と思うてのう」
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